奇妙な株式市場の反応 2022年8月15日
経済情報
2022年8月15日の二つの指標
(1)中国の7月の主要経済指標(一連の指標)
中国の7月の主要経済指標は軒並み予想に反して減速。
グローバル経済軟化の兆候でもあり、世界に波及していくとも解釈され、原油など商品価格は下落。
資源国通貨や、欧州でも金融緩和ムードになり、ユーロも軟化。
(記録的な熱波に見舞われている欧州では、物流の大動脈であるライン川の水位が一段と低下。大型船などが航行できず、燃料などの輸送が滞ることで、電力不足や工場の稼働停止などが懸念されている。)
(2)NY連銀の製造業景況指数
8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、データをさかのぼれる2001年以降で2番目に大幅な低下となった。需要の急激な落ち込みが示唆された。
これを受けて、米金利は低下、ドル安/円高になった。金利低下はPERを押し上げ株価は上昇。
奇妙なのは、これだけNY連銀の製造業景況指数が低下すれば、企業収益が大きく落ち込むことが予想されるので、株価はむしろ下落してもおかしくないはずなのに?
株式市場は、リセッションになっても、企業収益は落ち込まず、物価の沈静化と金融緩和だけが起きると思っているようだ。
ちなみに、経験的には、ISM指数が51を下回れば減益になる傾向がある。ISM指数が47を割れば、GDP成長率はマイナスになる傾向がある。
8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、ISM指数が40割れを示唆しており、大幅減益、リセッションの可能性大ということになる。
NY連銀の製造業調査で、仕入れ・販売価格は低下した。市場は、物価沈静化の兆しと好感したかもしれないが、依然、かなり高い水準にある。8%の物価上昇率が4%に低下することは期待できるかもしれないが、これでは、FRBのターゲットである2%には程遠い。
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