10月に入ってからの株価上昇の背景、その持続性は 荒野浩の『テクニカル・ルームから』
配信日:2016/10/22 08:02
「銘柄の広がり」・「売り圧力の
相対的な低下」が株価上昇の主要因
今週、日経平均株価は5/31高値を上回り、6
か月ぶりの高値を記録しましたが、上昇の背景
をチェックしてみると三つのことに集約されま
す。第1には「銘柄の広がり」(=騰落レシオ
の上昇)を伴っていたこと、第2には売り圧力
の相対的な低下、それに関連すると思われる海
外投資家の大幅な買い越しということになりま
す。週別のそれぞれの状況を下記に示します。
(週間ベースでの上昇幅・上昇率)
~10/07 ~10/14 ~10/21
上昇幅 +410円 ▲ 3円 +328円
上昇率 +2.49% ▲0.0% +1.95%
上げは第1週と第3週で、第2週は横ばいと
なっています。第2週は騰落銘柄数がほぼ同じ
で、空売り比率も前週と変化がありませんでし
た。株価が上がらなかった要因でありますが、
ここで注目したいのは海外勢が先物と現物の
合計で1,823億円買い越していたのに株価上昇
に寄与していなかったことです。他の週でも見
られたことですが、海外勢の買い越し額が
1,000億円台までは株価上昇の起爆剤にはなら
ないという事実です。
(海外投資家の売買差額)
~10/07 ~10/14
現物 2,805億円 1,131億円
先物 4,873 692
合計 7,678 1,823
(注)先物は(TOPIX+日経平均)(含ミニ取引)
(銘柄の広がり)
~10/07 ~10/14 ~10/21
騰落レシオ 169.4% 99.9% 174.8%
値上がり数 1,154 927 1,168
(/日)
値下がり数 681 928 669
(/日)
足元で1か月移動平均(MA)の騰落レシオ
は140%(10/18 140.6%、10/20 145.4%)
を今年初めて超えました。
15年でも140%台を記録したのは5営業日の
みでした。140%を超えたのは2月が2日
(2/19 141.7%、2/20 146.2%)、10月
が3日(10/23 145.6%、10/26 140.8%、
10/28 149.5%)です。これらのデータからは
株価上昇の要因としては騰落レシオの上昇は限
界に差し掛かりつつあることになります。
(空売り比率、週平均)
~10/07 ~10/14 ~10/21
空売り比率 37.3% 37.9% 37.8%
前週比 ▲3.0% +0.6% ▲0.1%
今年に入ってからの空売り比率の平均は39.9
%で今月の37%台は売り圧力が相対的に低下し、
株価上昇の主因となっている感があります。
5日MAの空売り比率は14日連続で30%台と
なっています。売り圧力が更に低下するのは難
しいと思われますので、30%台が継続するのか
どうかに注目です。
上昇要因の持続性は
今月の株価上昇をけん引してきた要因のうち、
騰落レシオの上昇はほぼ限界に達しており、空
売り比率の更なる低下も困難な状況になりつつ
あります。足元では10月第1週のような海外勢
の大幅買い越しもないという前提では今月の上
昇はかなりいいところまで来ていると思われま
す。16,500~17,000円のレンジが300~500円
程度今月の上昇で上に振れたと思われます。株
価上昇が止まったとしても株価の下振れは大き
くなく、底堅い展開になるものと思われます。
よろしいですか?