トランプ新大統領に一言&DCFによるバリュエーション事例(柳下裕紀の「バリューで紐解く企業とマーケット」から)
こんにちは。いやはや、トランプショックは大変でしたね。
勿論、私もクリントンと考えていましたので、トランプ当選は物凄いサプライズでしたが、その後のマーケットの反応、これはFacebookやTwitterに書いたように、想定通りです。
繰り返しになりますが、リーマンショックというのは、レバレッジによる信用システム拡大であり、証券化商品などで、元来は取れるはずのないリスクを取り、膨張した信用取引が一気にはじけたという現象だった訳で、それを再発させない為の対抗策として、オバマ大統領は2010年にドッド・フランク法を制定したのです。
特にその根幹となったボルカールールでは、正に投資銀行が糧としてきたレバレッジが封じ込められ、急拡大を支えたビジネスモデルが完全に瓦解しました。自己勘定取引も、ヘッジファンドやPEファンド等に対する投資も、そしてこれらのファンドのスポンサーとなる事も禁止され、ポジションのディスクローズ、取引先の開示も義務付けられ、生き残ったモルスタもゴールドマンもFRB傘下の商業銀行になったのです。
当選後のトランプは、選挙公約だったその金融規制廃止をいの一番に表明しましたね。
さらには法人税(企業所得税)を現行の35%から15%に引き下げ、相続税を廃止するとも言っています。要するに、富裕層優遇の元の道、旧来の共和党的政策に戻すという事です。
これまでの株高は、オバマ政権下で、製造業の復権や中間層の復活など、実体経済がシッカリと良好になってもたらされたものでしたが、それも景気循環でやや調整局面に入っていました。
ところが、ここでいつか来た道、レバレッジで膨らませる株高を誘発される期待が先行して金融株などを中心に上昇したという反応です。
国民皆保険が骨抜きになると、薬価抑制も無くなるという見通しでヘルスケア株も上昇しました。
まあ、2013年に行われた黒田メガ緩和後の相場、人為的な上げとも言えます。バリュー投資からすれば、全く評価する必要も無い上昇でしかありませんし、そもそも企業の本質的な競争力に何の関係も無いバブルです。
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