【第5回】移動平均とシステム売買
「トップインテリジェントのためのシステムトレード」の第5回目は移動平均とシステム売買です。
本編サイトはイニシアチブ-未来思考システムトレーダーです。こちらはもっと幅広い事象を取り扱っていますが、「トップインテリジェントのためのシステムトレード」では、より深くテーマを掘り下げていきますのでどうかよろしくお願いします。
【移動平均の概要】
移動平均とは、ある一定期間の過去の価格を平均したもので、相場の分野のみに限らず様々な統計に使われている分析ツールです。一般的に、相場での移動平均というと単純移動平均のことを意味します。
その他にも加重移動平均、指数平滑移動平均のように、移動平均には多くの種類があります。相場でよく使われる移動平均線は単純移動平均線のことで、過去の値段を追いかけるという特性からもトレンドの発見がしやすいという利点がありますが、トレンドの転換点を発見することが遅れてしまうという欠点もあります。
移動平均線にはグランビルの法則という8つのパターン法則がありますので、それを参考にしてシステム作成に取り組むのもよいと思います。移動平均線をマスターすれば、ボリンジャーバンド、MACDというテクニカル分析手法も使えるようになることだと思います。
【単純移動平均の特徴】
単純移動平均の興味深い属性の一つに、移動平均の算出式に新たに加えられた価格データと同様、既に算出式から消え去る古い相場データの影響も受ける可能性がある。というのがあります。これはどういうことかといいますと、下記の図で説明したいと思います。
移動平均線(更新前) | — | 35 | 45 | 25 | 34 | 28 | 平均33.4 |
移動平均線(更新後) | 35 | 45 | 25 | 34 | 28 | 30 | 平均32.4 |
新たに30が加えられ、35が外されることにより、35が外れたことによるインパクトと30が加えられたことによるインパクトの二つのインパクトが同時に起こります。これが移動平均線の知られざる特徴の一つであり、これを知ることにより、ただ単純に平均値を取ったものだという認識以上に深く移動平均線の研究が出来ることだと思います。
移動平均を利用したシステムは、トレンド相場であるときには有効に機能しますが、トレンドの無いときにはうまく機能しません。ADXのようなトレンドを計測できるテクニカル指標と組み合わせることにより、より効率的にシグナルを発生させることができます。
【移動平均のトレーディングシステム】
ここまで、移動平均について解説をいたしましたが、実のところ移動平均を使ったシステムについて私は懐疑的です。そもそも数値の最適化で検証結果がすごく変わってしまうところが嫌ですし、平均を使っているがゆえの再現性という意味合いが薄いのではないかとも思っています。平均というのは理解しやすい反面、ダイナミックに動くマーケットには適合しない(統計的差異が見られない)ものなのかもしれません。
あくまでこれは個人的な意見であり、移動平均を使ってその乖離や傾き、トレンドフィルターの判断をするのは有効かもしれません。少なくとも、移動平均のクロスによる売買判断は当たるものは当たるし当たらないものは当たらないといったくじ引き的な分析手法だと思っています。指数平滑移動平均は、移動平均群の中でも一番使えそうだと思っていますが、論証は研究者の方々にお任せして、実務者の方々には私の意見を少しでも参考にしていただければ幸いです。
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トップインテリジェントはトップアスリートから派生した用語で、いわゆる脳を使ったアスリートという意味で使っています。トレーディングは、アスリートのように練習も必要ですしイメージトレーニングも必要です。実戦では何が起こるかわからないですが、結果が求められるのはアスリートと同じ。そしてそのために訓練を継続します。うまく行かない時も当然ありますが、だからと言ってあきらめない不屈の精神(=レジリエンス)で頂点を目指していきます。
これまでエリートやインテリジェンスといえばガラスのようなもろさや繊細さが強調されていましたが、そうではなくいわゆる雑種力を開花させて体当りしていくことを目指します。めたんこに打たれ強い、そんなトップアスリートならぬトップインテリジェントを理想像として読者の方々と共に歩んでいきましょう。
ストラテジーについてはなるべく公開していわゆるオープンソースの考えを取り入れています。アウトプットとアイデアのブラッシュアップでお互いの投資技術を進化させていきましょう。
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