勝てるアノマリー系EAの見つけ方!【EA開発者目線】
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今回は、勝てるアノマリー系EAとは何か、その特徴や選び方について解説します。
■アノマリー系EAとは?
アノマリー系EAとは、過去の為替レートに基づいて、為替市場における規則性を検出し、その規則性に乗じた売買を行うEAのことを指します。
アノマリー系EAとは、簡単に言えば為替相場の規則性を利用したトレードを行うEA自動売買プログラムのことです。
具体的には、相場の特定の時間帯や日付において規則性がある場合に、そのアノマリーを利用して売買を行います。
以下に、アノマリー系EAの特徴と代表的なものをご紹介します。
■東京仲値トレードEA
東京仲値トレードは、金融機関が使用する基準レートである「仲値」の時間帯に相場が一時的に大きく動くことを利用したトレード手法です。
仲値の時間帯は日本時間の朝9時55分とされ、この時間帯を意識したトレードを行うことで、効率よく勝てるとされています。
仲値トレードEAのロジックは開発者によって異なります。
トレード頻度はEAによりさまざまで、毎日トレードするEAから月に数回しかエントリーしないEAなどがあります。
一般的には、エントリーする日をゴトー日かつ月末や週末などに絞り、トレードする日を限定したEAが良いパフォーマンスを出す傾向にあります。
■ロンドンフィキシングを狙ったEA
ロンドンフィキシングは、ロンドン市場における仲値決めの時間を指します。
ロンドン時間16時つまり、夏時間なら日本時間の24時、冬時間なら日本時間の25時になります。
月末のロンドンフィキシングでは、ポンドが買われやすくなるというアノマリーが有名です。
ロンドンフィキシング前の上昇を狙い、ポンド買いが強まる時間帯を攻めることが基本戦略になります。
例:夏時間なら日本時間の23時、冬時間なら日本時間の24時にポンドドルやポンド円の上昇を狙ってロングエントリーし、1時間後に決済する。
例:月末にポンドを買う。
過去の統計データに基づくと、月末のロンドンフィキシングではポンドが上昇する傾向があるため、月末にポンドを買うことで利益を狙うことができます。
これらの統計には以下のような理由があるとされます。
月末の決済: 多くの企業が月末に決済を行うため、ポンドの買い需要が高まる。
窓飾り: 一部の金融機関が、月末の決算に向けて資産を良く見せようと、ポンド買いを行うことがあります。
心理的な要因: 投資家が月末のロンドンフィキシングでポンドが上昇する傾向があることを認識し、それに追随してポンドを買う傾向があります。
ロンドンフィキシングではポンド買い、東京仲値ではドル買いがあるとされます。
これ以外にも理由はよくわからないが、なぜかそうなるといったものも含めてアノマリー系EAと呼びます。
■裁量トレードとの比較
裁量トレードなら、過去のデータだけに頼らず現在の市場状況を反映したトレードが行えます。
EAではバージョンアップを行うかパラメータ値を変更しない限り現在の相場に適したトレードを行うことが出来ません。
つまり、ロジックが現在の相場と合わなくなることは勝てないEAになることを意味します。
■勝てるアノマリー系EAの特徴
勝てるアノマリー系EAは、膨大な過去データを分析し、信頼性の高いパターンを抽出します。
この分析が正確であるほど、トレードの成功率も高くなります。
わたしが開発したEAに、「London Time Trade USDJPY」というEAがあります。
London_Time_Trade_USDJPY商品ページ
日本時間の16時過ぎに当日の逆張りで新規エントリーしその日のうちに決済ドテン売買を行います。
2021年5月24日発売以来、勝ったり負けたりを繰り返し、2024年5月現在はギリギリプラスの成績となっております。
■アノマリーが機能しない理由
ロンドンフィキシングは、かつては為替レートに大きな影響を与えていましたが、近年ではその影響力は低下していると言われています。
また、東京仲値トレードが2023年以降不調となっている理由はいくつかの要因が考えられます。
理由1:貿易量の減少や金融市場の発達により、東京仲値を利用した実需筋のドル買いが減少している可能性があります。
かつては、月末の貿易決済のために輸出企業が東京仲値にかけてドルを調達していましたが、近年ではこのような取引は減少していると考えられます。
理由2:東京仲値トレードは、以前よりも多くのトレーダーに知られるようになりました。
その結果、東京仲値時間帯に多くの注文が集まり、アノマリーの効果が薄れてきている可能性があります。
理由3:金融市場のグローバル化や電子化が進み、為替レートは以前よりも短時間で大きく変動するようになりました。
そのため、東京仲値のような特定の時間帯にのみ有効なアノマリーは、効果が薄れてきている可能性があります。
アノマリー系EAの最大の弱点であるロジックが効かなくなることに対して、何らかの対策が必要となります。
■安定して勝つための対策
対策1:リスク管理
どんなに優れたアノマリーであっても、全ての取引が成功するわけではありません。
勝てるEAは、損失を最小限に抑えるためのリスク管理機能を備えています。
適切なストップロスや利益確定の設定が欠かせません。
対策2:フォワード結果の検証
アノマリー系EAのパフォーマンスを評価するためには、過去のデータを用いたバックテストが重要です。
しかし、バックテストだけでは未来の市場状況を完全に予測することはできません。
フォワード結果できちんとプラスになっているかはEAを選ぶ上での最重要事項です。
対策3:アノマリーの根拠を分析する
根拠のないアノマリーは、将来性がない可能性が高い。
また、アノマリーの根拠はファンダメンタルズ分析となることから、現在の相場でも有効かどうかを判断するうえで貴重な判断材料となる。
対策4:EAのロジックが明確であるか?
ロジックがブラックボックス的なEAはリスクが高いため、どのようにして利益を上げるのかを明確に説明できるEAを選びましょう。
ロジックが明確でない場合、過去の相場に対し最適化しているだけのEAの可能性があります。
ロジックを公開していることで、利用者がエントリーや決済のタイミングを知ることができ、EAを稼働させるかどうかの判断材料になります。
【結論】
・いろんなアノマリー系EAでポートフォリオを組む。
・アノマリーが効かなくなると負けはじめます。フォワード結果が良くないEAはポートフォリオから外しましょう。
・ロジックが公開されているEAの場合、ファンダメンタルズ分析も含めて稼働させるかどうかを判断する。
■EA開発者からのアドバイス
わたしはこれまで、数十個のアノマリー系EAを開発してきましたが、テクニカル指標を用いたEAよりもアノマリー系EAは成績が悪いです。
成績が悪い理由は、過去の相場に合うようにロジックが組まれているだけで、未来の相場に対して優位性が無いことが原因です。
なぜそうなるのか?ロジックについて明確な根拠を示していないEAは、フォワードテストでは勝てないことがほとんどです。
また、フォワード結果で勝てないアノマリー系は使用すべきでないと思います。
投資の参考になれば幸いです。
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