EAのポートフォリオを組んで収支を安定させる方法(EA開発者目線)
FX
前回は、相場環境に合わせてEAを入れ替える方法というテーマで記事を書きました。
本日は、EAのポートフォリオを組んで収支を安定させる方法というテーマで記事を書きます。
わたしは2020年からEA開発を始めて、これまでに100個以上のEAを開発してきました。
EA運用を開始した2021年からは年間収支は毎年プラスです。
実際のトレードでも勝っている証拠として、EAのリアル口座を公開します。
REAL TRADE
上記はFXTFのリアル口座で、2021年に30万円入金した口座がEA運用のみで2024年9月現在、250万円まで口座残高が増えています。
さて、わたしがEA開発を始めた2020年は、コロナパンデミックがあった年です。
外出をする回数が減り、家にいる時間が増えたことで、空いた時間に何かやることは無いかと考えた結果、EAとインジケーター開発をすることにしました。
わたしは元々ウェブ関係の仕事をしており多少のプログラミングの知識はあったので、3ヶ月ほど勉強することでEAとインジケーターを作れるようになりました。
MT4のEA開発は、プログラミングの中では難易度が高い方です。
難易度を高くしている理由は、プログラミングの難しさではなく、勝てる手法を見つけられるかが重要だからです。
つまり、プログラミングのスキルよりも手法の構築の方が重要ということですね。
今はノーコードでEAを作るツールがあったり、EAのテンプレートがあればChatGPTでロジック部分だけ書き換えたりできるので、EA開発のハードルは下がりました。
ですが、リアル運用で稼げるEAが作れる人は、トレーダーの中でも一部の人に限られます。
スキャルのEAを作ろうとすれば、当然勝てるスキャルの手法を知らないと作れないですよね。
デイトレ・スイングのEAならバックテストを繰り返すことで、手法の優位性は確認できます。
長期間のバックテスト(2007年からだと15年以上、2013年からだと10年以上)を取ることで、異なる相場環境での検証が行えます。
当然きれいな右肩上がりの資産チャートが望ましいのですが、ここで大きな落とし穴に直面することになります。
EAを販売する側からすると、ドローダウンの少ないEAが売れます。
EAを買う側(利用者)も、安定して勝てるEAが欲しいわけです。
いわゆる聖杯というやつですね。
株やFXで聖杯と呼ばれる手法は存在しないことはご存知かと思います。
ここで皆様に質問したいことがあります。
EA選びにおいて聖杯探しと同じことをやっていませんか?
どんな相場でも勝ち続ける完全無欠のEAを探していませんか?
この答えを前回の記事で書いたつもりです。
前回記事「相場環境に合わせてEAを入れ替える方法」
わたしはEA運用する際は、ポートフォリオを組んだ方が良いと考えています。
1つのEAに全資産をつぎ込むのは聖杯が無い以上、ギャンブルトレードになってしまいます。
少なくとも3つくらいのEAでポートフォリオを組むべきです。
もしあなたが3つEAを選ぶとしたら、どのタイプのEAを選びますか?
1、順張りEA
2、逆張りEA
3、アノマリー系
4、スキャルピングEA
5、朝スキャEA
6、ナンピンEA
通貨分散も重要ですし、ロジックを分散させることも効果的ですよね。
EA開発を始めて最初の1年は、アノマリー系のEAとテクニカル指標を用いたEAを中心に開発を行いました。
■トレンド相場向きのEAとして「PerfectOrder_GBPJPY」がヒットしました。
PerfectOrder_GBPJPY
ですが、アノマリー系のEAと逆張りのEAは全滅です。
全滅の理由ですが、アノマリー系のEAの場合、多少の優位性があったとしても現在の高ボラティリティ相場においてアノマリーの優位性よりも需給の要素が大きすぎてアノマリーが機能しないと考えています。
逆張り型のEAの場合、今の相場との相性は最悪です。
今後、相場が安定してくれば、これらのEAの成績も改善すると思います。
少なくとも今の相場と相性が悪いので、わたしが開発したアノマリー系のEAと逆張りのEAは動かすだけ無駄なEAになってしまいました。
優れたEA開発者なら、高ボラティリティ相場でも機能するようなロジックを組み込んでいることでしょう。
もし逆張り型やアノマリー系のEAを買うなら、現在の相場でもフォワード成績がプラスになっているEAを購入するようにしましょう。
EA開発2年目以降は、様々なロジックのEAを開発してきました。
朝スキャEA、スキャルピングEA、ブレイクアウト手法、プライスアクションによるトレード、マルチロジック。
現在の相場では、マルチロジックのEAだけが突出して好成績を叩き出すこととなりました。
■マルチロジックのEA
Seven Elements
7つの手法から導き出された評価に応じて最大3ポジション保有する複数ロジック搭載EA。
Hybrid EA Trade USDJPY
朝は逆張り、日中と夜はトレンドフォロー型の2つのロジックを採用したハイブリッド型EA。
その他のロジック
朝スキャEA、スキャルピングEA、ブレイクアウト手法、プライスアクション手法、いずれも勝てそうなロジックですよね?
少なくともバックテストでは勝てていたわけですが、単純に今の相場と合っていないだけなのか、あるいはロジックの賞味期限切れなのかもしれません。
理由はともかく、結果がともなわない以上、使えないEAになってしまいました。
2024年現在、ゴゴジャンで比較的好成績を収めているEAの傾向として、トレンドフォロー型(押し目買い戻り売り)があります。
長期足に対しては順張りで、短期足で逆張りエントリーとか、完全順張り型とかですね。
わたしの開発したEAも、トレンドフォロー型のEAのフォワード成績が良い傾向にあります。
安定して稼げるナンピンEAが欲しくなったので作ってみることにした・・・。
2024年になってから、ナンピンEAの開発に着手しました。
ナンピンEAはどのように破綻リスクを回避するか?がEA開発者としての腕の見せ所です。
わたしが出した答えは、きちんと損切りするナンピンEAです。
■損切りするナンピンEA
Bear Mind(ベアー・マインド)
相場の急変動時は損切りを行う安定型グリッドトレードナンピンEA。
実は、Bear Mind(ベアー・マインド)と同時にBear Grid(ベアー・グリッド)というEAも同時にリリースしました。
Bear Grid(ベアー・グリッド)
マルチタイムフレーム分析とグリッドトレードによるナンピンEA。
Bear Grid(ベアー・グリッド)は、2024年7月に大きめのドローダウンが発生し、一気に資産を減らす結果になりました。
一応、損切り設定は行っているのですが、1000pipsと深めに設定しているので、損切り時のダメージは大きくなります。
結局のところ、Bear Mind(ベアー・マインド)のようにポジションと反対方向に大きく動いた時は損切りを行うようにしないと、強制ロスカットにあうのは目に見えています。
実は、Bear Mind(ベアー・マインド)というEA、トレンドフォローのEAとの相性が抜群です。
以下のREAL TRADEで「Bear Mind」と「PerfectOrder_GBPJPY」の2つのEAを比較すると、逆相関の関係にある事が分かります。
REAL TRADE
逆張りナンピンEAは、行ってこいの相場、つまりトレンドフォローのEAだとタイミング次第で往復ビンタを食らう相場で大きく利益が狙えます。
逆張りでグリッドナンピンを仕掛けるEAは、行ってこいの相場が得意ということですね。
トレンドに逆らわないBear Mind(ベアー・マインド)とトレンドフォロー型のEAを同時稼働させることで収支が安定します。
順張りEAと逆張りナンピンEAの組み合わせは、ポートフォリオ運用における上級テクニックですので、ぜひ参考にしてください。
最後に、核心部分について書きます。
EA開発者は、きれいな右肩上がりの資産チャートのEAを作る事を目標としてEA開発しています。
理由は、その方が売れるからです。
ですが、実際のトレードでは、必ずしも安定して利益を出す必要はありません。
どんなに優れたEA開発者であっても、フォワードテストでは必ずドローダウンが発生します。
聖杯のEAが存在しない以上、ある程度の負けは仕方ないのです。
狙っても出来ないので、出来ないことはやらないという考えです。
それでは、どのようにしてEA運用するのでしょうか?
わたしのオススメは、年単位でプラスを目指すやり方です。
月単位でマイナスになることは避けられないけど、年間トータルでプラスになればいいのです。
その為に必要なことが、前回の記事でも書いた「相場環境に合わせてEAを入れ替える方法」です。
それから、ポートフォリオを適切に組むことでレバレッジをある程度上げることが出来ます。
当然、資金管理もきちんとやらないといけませんし、EAごとに適切なロットを設定しないといけません。
EAの選び方は過去記事で書きました。
勝てるEAの見つけ方(ゴゴジャン編)
■本日のまとめ
・適切なポートフォリオが組めれば、すべてのEAでプラスになる必要はない。
・苦手な相場を補う形でEAポートフォリオを組むことで、収支が安定化する。
・順張りとナンピン、順張りと逆張りなど異なるロジックでEAポートフォリオを組む。
・通貨分散も大事だが、異なるロジックでEAポートフォリオを組む方が効果的。
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